両極が交じり合う場

昨夜は、奥寂庵のある上越市大島区と安塚区で「回廊の灯」というイベントがありました。約10万本のロウソクがいろいろな場所に灯されていました。

回廊の灯

このような夜のイベントは、昼間の目に見える世界から、目に見えない黄泉の世界への入口のように感じます。昼と夜、意識と無意識、光と影、人間と自然、生と死など、普段、思考によって分離させている両極が出会い、溶け合い、非分離になる場への入口です。

回廊の灯

特別なイベントでなくても昔の日本は、日常のなかに両極が交じり合う場がありました。交じり合うことによって、神話、童話、童歌、妖怪、言い伝え、宗教が生まれていったのです。このような目に見えない存在を感じる生活を子供の頃から送ることは、どれほど内面性、文化を豊かにしたことでしょう。そしてそのような生活では、目に見えない存在に対して畏敬の念を抱き、「生かされている」という感覚、謙虚さが自然と身に付いていったのです。そのような非分離的なものを、日本人の精神構造は含んでいたと言えます。

回廊の灯

現在は、文明が西洋化されたために、目に見えるもの、科学的な客観性、効率性、言語化できるものなどに価値が置かれています。それはそれで大事なものですが、それだけでは、日本人にとっての文化、精神性は表層的なものにならざるを得ません。

回廊の灯

私は、観光として訪れるのではなく、「日本」が残っている場所に古民家を見つけて、そこに身を置いてみたいと思ったのが8年前。そしてその思いを実現したことの意味を、深く強く噛みしめています。

回廊の灯

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