ブナとの対話

豪雪の里に原生するブナです。空に向かって力強く伸びるブナに同調してみると、生きとし生けるものの<いのち>の活きを感じます。大地に根づき、重力に反して上昇しようとする生命力は、樹木だけではなく私たちの内側にもあることを、ブナは私たちに思い出させてくれます。

ブナとの対話

このような力はすでに私たちのなかにあるのではないでしょうか。このような力は、他者からの期待に添おうとしたり、社会に認めて貰おうとして理想的な人になろうとすることによって得られるものではなく、自分のなかの自然(じねん)を抑え込まずに、自分の内側にあることをただ信頼し、発露させることが大事に思います。大好きな東山魁夷画伯が、「泉湧く」と表現されたのは、このような意味だと思っています。

天台本覚論には「草木国土悉皆成仏」という思想がありますが、これは「動物だけではなく植物にも、山や川、空や海まで仏性があり、成仏する」という思想です。ブナと一緒に居ると、植物も人間と対等に感じますから、天台本覚論の思想は私には腑に落ちます。

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