少女は夜明けに夢をみる

今日、岩波ホールにドキュメンタリー映画「少女は夜明けに夢をみる」を観に行きました。イランの少女更生施設に収容されている、強盗、殺人、薬物、売春などの罪で捕らえられた少女たちの心の内面の動きを、インタビューを交えながら描き出していました。彼女たちは加害者として収監されてはいるけれど、家族に裏切られ、誰からも守って貰えず、愛を知らない、心身ともに傷ついた被害者でもありました。

救いは、この更生施設が、痛みの共通体験によって深く結ばれた魂のアジール(避難所)になっていたことです。この施設でどのような支援があるかは、殆ど映し出されていませんが、彼女たちに相互交流が生じるような場を提供するためにきめ細やかな支援が行われているようでした。

ただ、出所する少女に監督が「おめでとう」と声を掛けると、「お悔やみでしょ」と言われるシーンがありました。彼女たちにとって施設の外側は危険に満ちています。施設の職員は出所する彼女たちに「施設を出たら1人で家族と向き合うしかないの。ここから外のことはわたしたちには責任はない。あなたが自殺したとしてもね」と言い放ちます。彼女たちにとって社会の方が刑務所なのです。本来は、家庭の方が愛と安心感のある安全基地であるべきなのに。

映画を見終わってからもずっと、彼女たちの愛を求める心の叫び、溢れ出す痛みが身体のなかで疼いています。この疼きを否定せずに持ち続けることが、祈りになるように感じています。このような時には、ティク・ナット・ハンの言葉が身に浸みます。

監督へのインタビューでは、この映画は、イラン国内の大学で法律や心理学を学ぶ学生向けに上映会が開かれたと書かれてあったので、明日、やり取りをしているイランの医学生に、映画を見たことをメールで伝えてみます。

この映画は、誰にでも勧められるような映画ではありませんが、興味のある方が居ましたら、以下の公式サイトを参照ください。

「少女は夜明けに夢をみる」公式サイト

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