桜の花を見て思うこと

桜の花を見て思うこと

桜の花ほど、写真で色を再現するのに難しい花はないのではないでしょうか。実際に観た感動を撮ろうと撮影して、がっかりした経験を持つ人は多いと思います。

私たち日本人は、なぜ、それだけ淡い色合いの桜に魅せられるのでしょう。私は桜の花を撮影する時には特に、太陽光と背景に意識を向けます。というのは、桜の花の色合いが、光と背景の色にとても左右されるからです。「そのような淡い在り方が日本人の自我構造に近いから、私たちは惹きつけられるのではないだろうか」と、桜を撮影しながら思っていました。鈴木大拙氏の著作のなかに、「日本人は自我を重んじていないために、日本人の自我は相対的だ」というようなことが書かれていたことを思い出しながら。

表層的な自我には確固とした構造を持たず、「うつろい」「はかなさ」「間」「遊び」に価値を置くけれど、深層はどっしりと動じない。そのような日本人の精神構造の象徴として「桜」「柳」「竹」があるように思います。西洋的な自我構造を学ぶとともに、日本人のうつろう自我、自然発生的な自我も大事にしたいものです。

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