自然への畏怖
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この冬最強最長の寒波は、世界有数の豪雪地帯に建つ越後奥寂庵にも容赦なく訪れました。地元の方との会話の話題は、もっぱら積雪についてです。90歳の方は「わしが生まれてからこんなに短期間に積もったのは初めてだ」と言っていました。
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越後奥寂庵に面している道は自治体によって頻繁に除雪がなされますが、敷地内は自分で行うしかありません。集落の大型除雪機を拝借して、4mにも及ぶ雪の壁を少しずつ掘っていきます。時間は掛かるけれど無謀なことをしなければ、屋根からの雪の落下がないため、玄関までの除雪は危険ではありません。しかし今回は、普段よりも雪深いために電線が雪に埋もれていて、それに気づかず除雪機に巻き込み、電線を切ってしまいました。さらに悪いことに電線を切るだけではなく、家に引き込む内線を外壁と電力メーターもろとも引き剥がす始末。
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急遽、東北電力の方に来て貰えたのは有り難いことでしたが、電柱から電線を屋内に引き込むためには、まずは外壁と内線の修理が必要とのこと。それに加えて、玄関の鍵と給湯器が壊れ、除雪機の修理もしなければなりません。何処の修理業者に連絡を入れても、依頼が多すぎて手が回らない状況です。まさしく災害級の寒波です。あらためて寒波の凄まじさを実感します。
途方に暮れる気持ちとともに、都会ではあまり感じない感覚にもなります。それは「諦めることと怖れること」の大切さです。確かに目的意識を持って決して諦めずに邁進することは人生において大切な要素ですが、こと自然相手の場合は、動物的本能から生じる怖さをキャッチし、そこから生まれる自然に対する畏怖の念を抱き、抗うことをせずに通り過ぎるのを待つことが何より大事だということを、危ない場所での除雪作業から学んできました。
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人のマインドは、「あともう少しだからやってしまおう」と思うものです。たとえそれが、エゴからではなく、「そこまでやらないと家に入ることが出来ない」「屋根の雪を下ろさないと家が潰れる」という切迫感からであっても、そのマインドに従うと痛い目に遭うことを自然から学んできました。今回の災難も、自然からの貴重な教えだと心に刻み込みます。