トレーニング・シラバス
シラバスについて
トレーニング・シラバスを記述しますが、これはあくまでも目安としてお考えください。その理由を、以下に示します。
1.BIPSは、「開放系(Open System)」です。
社会構造が変化すれば、私たちの精神構造に影響が及びます。例えばフロイトの時代は、ヒステリー患者が多く存在していましたが、時代とともに、ナルシシズム、うつ、パニック障害、ボーダーラインと対応が迫られる症状は移っていきました。
時代とともに移りゆく症状を対象にすれば、その都度新しい理論やスキルが生まれます。BIPSでは、過去からの遺産を大事にするとともに、つねに新しいもの対しても開いていますので、トレーニング内容もつねに変化する可能性を秘めています。
特に最近は、神経生理学の発展に伴い、ボディサイコセラピーも急速に進化しています。国際トレーナーは世界中を駆け巡り、つねに新しい情報を手入していますから、そのような最新情報を提供することも大切にしています。
2.BIPSは、トレーニングにおいても、有機的にプロセスに添っていきます。
心理療法を行う上で、初心者が犯す過ちは、理論を目の前にいるクライアントに当てはめてしまうことです。理論が先ではなく、目の前にいる人の内面のプロセスに共鳴することがまず大切です。そのプロセスを理解する上で、初めて理論が必要なのです。
トレーニングでも同じことが言えます。シラバスを厳格に遂行しようとするあまり、目の前で起きていることを扱わないならば、本当の意味で心理療法を学ぶことになりません。
もちろん、シラバスは指針となるものですし、大きな流れとしてはシラバスに従い、必修な理論やスキルは学んでいきます。ただし、知識では学べない「目の前に起きることに柔軟に、そして有機的にどう呼応していくか」という有意な時間を大切にして、トレーニングは進められます。
セラピストはウィニコットが述べた「ほどよい母親」のように、その場で起きることに共感し、柔軟に呼応することが大切なのです。トレーニングも同様に、その時々の受講生の状態に呼応して、必要なことを提供していきます。
以上の理由によって下記のシラバスは、あくまで目安としてお考えください。
トレーニング内容
ボディサイコセラピーの主要概念とプログラム
1年目
1日目:ボディサイコセラピーの紹介:ライヒからネオライヒアン/性格分析とベジェトセラピーに関するライヒの研究
2日目:発達理論における性格について/性格形成の肯定的・否定的ポラリティについて
3日目:身体についてのレクチャー/立ったときの姿勢、筋肉の緊張度、皮膚の状態
4日目:身体についてのレクチャーからベジェトセラピーのワーク/性格の防衛から身体と魂を解放、そのプロセスを心理学的に解明する
5日目:4日間の統合、体験をシェアする、各受講生についての素描
2年目
1日目:ネオライヒアンワークの紹介/ゲルダ・ボイスン、スタンレー・ケラーマン、デイビッド・ボアデラ、 アレクサンダー・ローエンの主な考え方を紹介し、それぞれのやり方の理論と実践における関連をみる
2日目:胎生学と心理療法/心理療法にとって胎生学の重要性と発達段階における愛情の調整(レギュレーション)と自己(セルフ)の発達
3日目:中胚葉を中心にしたサイコセラピーの実践
4日目:内胚葉を中心にしたサイコセラピーの実践
5日目:外胚葉、中胚葉、内胚葉の3つの層と潜在能力、理解、明晰さ、力動的な体の組織化、明瞭な言語能力、エッセンスとのコンタクトの創造を有機的に関連させる
3年目
1日目:ボディサイコセラピーにおける転移、逆転移、共鳴概念の発達/ボディサイコセラピーと心理療法の違いについて/退行と前進:昔のパターンを解放する目的で使う退行/それが作り出す陰性転移と陽性転移
2日目:心理療法場面における関係性への干渉/胎生学の3層にみられる陰性転移/理論と実践
3日目:実存の母体としてのエッセンス、シャドー、マスク
4日目:実践のスーパービジョン
5日目:実践のスーパービジョン
バイオシステミックスのプログラム
1回目のトレーニング
バイオシステミックス・モデルの神経生理学的ルート:アンリ・ラボリット、ゲルホルン、エデルマン、ル・ドゥルー
交感神経、副交感神経のカーブ、生理と病理(ジェローム・リス)
アチューンメント、アクティブリスニング、アイデンティフィケーション、言葉と体のリズム:キーワード、キージェスチャー
2回目のトレーニング
動きの象徴学(ラバン)、モートリック・フィールド(ボアデラ)
コミュニケーションの中の身体共鳴、類音(アソナンス)、ミラーリング
セラピーの場における身体:身体のコミュニケーション
セラピーの中の真正(authentic)の動き
3回目のトレーニング
システム ー 二者のマインドモデル(ビーブ、ラッチマン)
システミックス理論の概念
幼児の研究:ダニエル・スターン、エドワード・トロニック
ひとかたまりの生命体としてのグループ